Y氏は事業に失敗し、莫大な借金を背負った。
ーこうなったら、いっその事・・・ー
Y氏は将来を悲観し、自らの手で何度も命を絶とうと試みた。しかし、なぜか死にき
れないのだ。
首を吊ればロープが切れ、川に身を投じれば水深が浅く、車に飛び込めば上手く交わ
される。早い話が、Y氏は運が良いのである。
ーどうやら俺は、死に神との相性が悪いらしいー
Y氏は運命に逆らわず、生きる決心をした。
数年後、Y氏の運転する車が大爆発を起こした。誰もがY氏の死を予感した時、Y氏
は炎の中から奇跡的に生還を果たした。
「見事な脱出劇でしたね」
レポーターがY氏にマイクを向ける。
「俺は死にきれない男さ」
スタントマンのY氏は、そう答えた。
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