その夜、酒に酔ったY氏の心に魔が忍び込んだ。
ー自宅まで、少し運転するだけだー
Y氏はハンドルを握り、車を発進させた。
やがて自宅に近付くと、バックミラーにパトカーが映った。Y氏は職務質問を恐れ
た。
ーこのまま逃げ切ってしまえー
Y氏はアクセルを踏み込んだ。すると突然、前方に人の姿が見えた。
ー危ないー
Y氏はブレーキを踏んだが間に合わなかった。直ぐにパトカーが追いつき、Y氏は警
察官に捕らえられた。
「前方不注意だな。それに酒臭いぞ」
「相手は、なぜか急に飛び出して来たのです」
「言い訳は無用だ」
Y氏の弁明は通じなかった。
翌日、警察官がY氏に告げた。
「被害者が亡くなった。所持品の中に、遺書が見つかったらしい」
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