その日、ガードマンのY氏は重要な任務を与えられていた。
「では、配置に就いてくれ」
「了解しました」
隊長の指示を受け、Y氏は某ホテルの出口に立った。間もなく大物スターを乗せたセ
ンチュリーが、Y氏の脇を通過してホテルを後にする。出口付近には、既に大勢の人
が詰めかけていた。
彼らの進路妨害を防ぎ、スターを無事に送り出す事がY氏の任務である。Y氏は、さ
りげなく腕時計を見た。
ーもう、そろそろだー
そこへセンチュリーが現れ、Y氏の脇で一旦停止をした。歓声と共に、見物人の熱い
視線が出口に注がれる。Y氏は任務の傍らで、その視線に訳も無く酔いしれた。
―俺、ちょっとイケてるかもー
Y氏は何気に服装を整えた。
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