Y氏は同僚を連れて、行きつけの喫茶店で一息入れていた。窓の外を眺めると、美し
い女の姿が見える。バスを待っているらしく、女は停留所に立ち、何やら携帯電話で
話し込んでいた。
「いい女ですね」
先ほどから女に釘付けとなっていた同僚が、ふと漏らした。
「確かに」
Y氏も女に見とれていた。
「あの女、結婚していると思いますか」
「いや、していない」
Y氏はそう言い切った。
「分かるのですか」
「俺もこの歳だし、人を見る目くらいはある」
「じゃあ、あの女に彼氏はいますかね」
「いるよ。でも、あまり上手くは行っていないだろう」
「どうして、そんな事が分かるのですか」
「唇の動きを読んでいれば、色々と分かってくるさ」
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