2016年3月26日土曜日

第62話「ライバル」

一郎と二郎は双子の兄弟であり、互いに良きライバルでもあった。

先に生まれた兄の一郎と、後から生まれた弟の二郎が、ある意味で生まれる時から競

争を始めていたとすれば、まずは先に生まれた一郎の勝ちと言える。

以来、二人は何においても先を争った。ただ、二郎は一郎に勝てなかった。あと少し

の所で、何時も一郎に先を越されてしまうのだ。

ー何時か一郎に勝ちたいー

二郎は常にそんな気持ちで生きていた。

しかし、その願望は果たされないまま、やがて二人は高校生になった。

そんなある日、不幸にも一郎が交通事故で死んでしまう。二郎は悲しみつつも、悔し

い思いをした。

ー兄さん、俺よりも先に死なれたら、また兄さんの勝ちじゃないかー

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