一郎と二郎は双子の兄弟であり、互いに良きライバルでもあった。
先に生まれた兄の一郎と、後から生まれた弟の二郎が、ある意味で生まれる時から競
争を始めていたとすれば、まずは先に生まれた一郎の勝ちと言える。
以来、二人は何においても先を争った。ただ、二郎は一郎に勝てなかった。あと少し
の所で、何時も一郎に先を越されてしまうのだ。
ー何時か一郎に勝ちたいー
二郎は常にそんな気持ちで生きていた。
しかし、その願望は果たされないまま、やがて二人は高校生になった。
そんなある日、不幸にも一郎が交通事故で死んでしまう。二郎は悲しみつつも、悔し
い思いをした。
ー兄さん、俺よりも先に死なれたら、また兄さんの勝ちじゃないかー
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