双子の兄弟は五十歳になった。
「兄さん、俺たち、もういい歳だな」
「早いものだ。所で、お前は結婚しないのか」
「この歳だし、半分諦めているよ。兄さんの方はどうなの」
「実は、来年の春に結婚が決まっている」
「えっ・・・」
弟は兄に先を越された様な気がした。
そして結婚式の当日、双子の兄弟はこんな話をした。
「兄さん、ちょっと悔しいけど、おめでとう」
「有難う。お前も直ぐに結婚できるよ」
「そうかな」
「そうさ。双子の俺たちは好みも似ているだろう」
「確かに、似ている」
それから半年後、兄の言った通り弟もめでたく結婚した。
「兄さん、偶然にしては出来過ぎた結婚だとは思わないか」
兄の嫁と弟の嫁は、双子の姉妹である。
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