人は喋らずに何時間いられるのか。そんな実験を兼ねて、無言ゲームと呼ばれる催し
が行われていた。参加者は部屋に入れられて審査員の監視の下で過ごし、一日に八時
間の睡眠が与えられる。
初参加のY氏は予め説明を受けた。
「喋らないで何時間いられるかに挑戦してもらいます。これまでの最長時間は八十八
時間です。この時間を超えれば、あなたに百万円を差し上げます」
審査員はそう言ってストップウォッチを取り出した。
「スタート」
それから八十五時間が過ぎ、Y氏は百万円の獲得を確信しながら睡眠に入った。
そして一時間が過ぎた頃、審査員はY氏を起こして突然こう告げた。
「残念ながらゲームは終了です。今あなたは寝言を言いましたね」
0 件のコメント:
コメントを投稿