博打好きが高じて度重なる借金に手を染めたY氏は、遂に家賃が払えなくなった。
ーこうなったら、消えてしまえー
Y氏は失踪し、遠く離れた町でホームレスになった。
これから始まる路上生活は何かと不安でもある。Y氏は一人の先輩ホームレスに声を
掛けた。
「今日からホームレスを始めました」
「ああ、そうかい。じゃあ、ホームレスの生き方を教えてやるよ」
先輩は親切な態度を示した。話している間に仲良くなり、Y氏は身の上話を始めた。
「私は借金を抱えて逃げてきました。先輩も何か辛い事情があったのでしょう」
「俺は一時的に社会から存在をけしているだけさ」
「どういう事ですか」
「俺には不法に得た隠し財産がある。時効まで、あと少しだ」
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