ある田舎町の通学路を、小学三年生の男児が二人で下校していた。二人が道路脇にあ
る土砂の集積場に差し掛かった時、一人が言った。
「ここに僕たちの秘密基地を作らないか」
「おもしろそう」
さっそく二人は、今にも崩れそうな土砂の斜面に慎重に穴を掘り始めた。
やがてポッカリと口を開けた小さな洞穴は、二人が身を隠すには最適の場所となっ
た。
「ここを僕たち二人だけの秘密基地にしよう」
「うん。暫く隠れていようよ」
こうして二人は洞穴の中に身を潜めた。
やがて日没になっても、二人は家に戻らなかった。そこで捜索隊が出動した。
「何処にもいないぞ。神隠しの仕業かな」
秘密基地は崩れ落ちて跡形も無い。そして二人の姿も消えた。
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