ー僕は、どうせ馬鹿な人間だー
Y氏は自分自身を否定しながら数十年を生きてきた。子供の頃は同級生から馬鹿にさ
れ、大人になると同僚から馬鹿にされている。こうして何年も馬鹿の扱いを受けてい
ると、それは自己イメージとなって定着してしまう。
「僕みたいな馬鹿な人間は、生きる価値がありません」
ある日、Y氏は信頼できる先輩に、そんな思いを打ち明けた。
「そんな事は無い。人間は誰でも、何かの存在理由があって生きている」
「そう言われると、生きる希望が湧いてきます」
「それは良かった。君は君自身の存在理由に気付くべきだよ」
「でも、何も思い浮かびません」
「例えば、馬鹿がいるから賢い人間が胸を張れる。そうだろう」
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