2016年3月11日金曜日

第47話「時間の感覚」

世はスピード時代である。技術の進歩は単位時間当たりの人間の活動効率を高め、感

覚的な時間は速まって行く一方である。早い話が、現代人は何かと忙しいのだ。

Y氏は最近、そんなスピード時代における、ある種の違和感を覚えている。

ーなかなか進まないなー

道を歩けば、つい歩調が遅くなる。

ー何をもたもたしているー

レジに並べば待たされる。

ー悠長すぎるだろうー

話せばテンポが上がらない。

こんな風にY氏の時間の感覚は、よく逆戻りを強いられる。つまり、スピードが求め

られる現代社会において、時間の感覚に明らかな逆行現象が起きているのだ。

ーこの現象は加速しているー

Y氏はそう感じていた。老人は、日々増え続けている。

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