世はスピード時代である。技術の進歩は単位時間当たりの人間の活動効率を高め、感
覚的な時間は速まって行く一方である。早い話が、現代人は何かと忙しいのだ。
Y氏は最近、そんなスピード時代における、ある種の違和感を覚えている。
ーなかなか進まないなー
道を歩けば、つい歩調が遅くなる。
ー何をもたもたしているー
レジに並べば待たされる。
ー悠長すぎるだろうー
話せばテンポが上がらない。
こんな風にY氏の時間の感覚は、よく逆戻りを強いられる。つまり、スピードが求め
られる現代社会において、時間の感覚に明らかな逆行現象が起きているのだ。
ーこの現象は加速しているー
Y氏はそう感じていた。老人は、日々増え続けている。
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