2016年2月3日水曜日

第11話「バラのような」

恋人同士は互いに胸を弾ませ、愛に満ちた甘酸っぱい会話を交わす。しかし「結婚は

恋愛の墓場である」という余りにも有名な格言に詠われるように、結婚した男女が年

を重ねて行くと、何時しか愛が冷め、会話も冷めてしまうものだ。ただ希に、何時ま

でも恋人同士の様に甘い言葉で愛を確かめ合う夫婦もいる。

「あなた、愛しているわ」

「僕も君を愛している」

夫は妻を見つめ、腰に優しく手を回した。

「私って、綺麗だと思う?」

「ああ、君はいつ見てもバラのようだ」

「まあ、嬉しいわ。どんなバラかしら」

顔を赤らめる妻は、結婚前よりも太ってしまったけれど、変わりなく愛らしい。

「どんなバラかって・・・、豚バラに決まっているじゃないか」

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