あるアパートの一室で、文学青年の二人が談笑している最中、飼い猫が何かの動きに
素早く反応した。
「おい、ネズミがいるじゃないか」
猫は部屋の片隅にネズミを追いやり、今にも捕まえようとしていた。
「うん。窮鼠、猫を噛むっていう諺があるけど、あれは本当かな」
「それは、どうだろう。俺は猫を噛んでいるネズミなんて見た事がないけど」
猫とネズミは睨み合い、その場を動こうとしない。
「なあ、ネズミの口元を見てみろよ」
ネズミは慌てる様子もなく、しきりにモグモグと口を動かしている。
「まるで、ガムでも噛んでいるみたいだ」
「全く。あれじゃあ、窮鼠、ガムを噛むだよ」
「新しい諺だな」
「あっ、はっはっはっ」
二人は大笑いした。
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