その昔、ある溜め池に大ウナギが住んでいるという噂があった。その姿を見た者は誰
もいなかったが、村人たちは大ウナギを村の守り神として崇めていた。
ある年の夏、村を襲った台風の影響で溜め池が決壊し、見る間に水が流れ出た。やが
て水かさが下がった水面に大ウナギが姿を現すと、そこに与平という村の若者が待ち
受けていた。
「捕まえたぞ!」
与平は雄叫びを上げた。そして大ウナギを家に持ち帰ると罰当たりにも蒲焼きにし、
酒の肴にして食べてしまった。
その夜、目を覚ました与平は小便がしたくて厠へと向かった。放尿しようとして股間
に手を伸ばすと、与平は思わず絶叫する。
「うひゃー」
与平の指先は、大ウナギの頭をつまんでいた。
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