列車が大好きなサトシは、小学一年生の男の子。
その日、仕事から戻って来た父がサトシに言った。
「サトシ、列車でも見に行こうか」
「行こう、行こう」
大喜びのサトシは、父に連れられて自宅から程近い踏切へと向かった。そこは、サト
シが夢中になって楽しめる場所である。
「パパ、ほら見て。列車がやって来たよ」
そう言ってはしゃいでみせるサトシに、父は黙ってうなずいている。
「パパ、人がたくさん乗っているよ」
「仕事帰りの人たちだよ」
こうしてタカシは時が経つのも忘れ、次々とやって来る列車を眺めていた。そこへま
た列車がやって来た。
「パパ、今度は誰も乗っていないよ。幽霊列車かな」
暗がりの中、通り過ぎた列車は車庫へと向かった。
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