"桜散る"
そんな知らせが届き、青年の浪人生活が始まった。仲間たちの多くが進学や就職を祝
う中で、取り残された青年は底知れない孤独の中にいた。
そんなある日、青年は家の軒先で一匹の猫を拾った。ミイと名付け、家で飼う事にな
った。
ーミイ、君は僕の心の支えだー
以来、青年の心は癒され、勉学の励みにもなった。
そして、一年後の春。
"桜咲く"
青年の元に、そんな嬉しい知らせが届いた。
ところが、その日を境にしてミイは青年の前から姿を消した。どこを探しても見つか
らなかった。
ーミイ、ありがとう。君の事は、ずっと忘れないよー
青年の目に涙が浮かんだ。
ミイは今頃また何処かで、孤独な浪人生に拾われているのだろう。
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