2016年2月7日日曜日

第15話「猫」

"桜散る"

そんな知らせが届き、青年の浪人生活が始まった。仲間たちの多くが進学や就職を祝

う中で、取り残された青年は底知れない孤独の中にいた。

そんなある日、青年は家の軒先で一匹の猫を拾った。ミイと名付け、家で飼う事にな

った。

ーミイ、君は僕の心の支えだー

以来、青年の心は癒され、勉学の励みにもなった。

そして、一年後の春。

"桜咲く"

青年の元に、そんな嬉しい知らせが届いた。

ところが、その日を境にしてミイは青年の前から姿を消した。どこを探しても見つか

らなかった。

ーミイ、ありがとう。君の事は、ずっと忘れないよー

青年の目に涙が浮かんだ。

ミイは今頃また何処かで、孤独な浪人生に拾われているのだろう。

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