2016年2月13日土曜日

第21話「胸のときめき」

ある日の昼下がり、二人の男が公園のベンチに腰掛けていた。

「先輩、胸がときめくって、いいですよね」

「胸のときめきか・・・」

「実は昨日、すごく胸がときめいちゃいました」

「ほう、何かあったのか」

「はい、見ず知らずの女性に道を聞かれました」

「それで、どんな女性だったの」

「若くて目の澄んだ、とても美しい女性でした」

「それで胸がときめいたのか」

「はい、聞かれた場所がすぐ近くだったので、案内がてらに僕は暫くその女性と一緒

に歩きました。もう胸がドキドキして」

先輩の男は、羨ましげに話を聞いていた。

「ところで先輩は、最近ときめいていますか」

「ああ、胸はよくドキドキするよ。いわゆる更年期障害というか・・・」

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