職場に、最年長の爺さんがいる。Y氏は親しみを込めて、彼の事を長老と呼んだ。
ある日の事、長老に悲劇が起こった。職場まで何時も自転車通勤をしていた長老は、
雨の日にスリップを起こして転倒し、右足を骨折したのだ。長老は、そのまま病院に
搬送された。
そして、三か月後。
「長老、退院おめでとうございます」
Y氏が長老に声を掛けた。
「ありがとう」
「それで、足の具合はどうですか」
「骨はくっ付いたが右足に力が入らなくて、どうも歩きづらいよ」
「それは不自由ですね。この際、左足の骨も折ってしまえばどうですか」
「何て事を言う」
「左右のバランスがとれて、丁度いいかもしれないですよ」
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