2016年2月19日金曜日

第27話「こぶとりじいさん」

「ママ、早くお話してよ」

四歳の息子は、母から聞かされる昔話を毎晩楽しみにしていた。

「今日は何の話をしようかしら」

毎晩となると、やがて話も尽きてしまう。

「ねえ、早く」

母は一案を思い付き、何時もの様に話し始めた。

「昔々ある所に、右のほっぺに大きなコブのある、おじいさんが住んでいまし

た・・・」

母が話を続けていると、途中で息子がこう言った。

「ママ、その話は前に聞いた事があるよ。こぶとりじいさんの話でしょう」

「そうよ。でも今日の話は、この前とは少し違うのよ」

「じゃあ、続きを話して」

「おじいさんは、体が少し太っていて・・・」

息子は、小太りじいさんの話を楽しそうに聞いていた。

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