「ママ、早くお話してよ」
四歳の息子は、母から聞かされる昔話を毎晩楽しみにしていた。
「今日は何の話をしようかしら」
毎晩となると、やがて話も尽きてしまう。
「ねえ、早く」
母は一案を思い付き、何時もの様に話し始めた。
「昔々ある所に、右のほっぺに大きなコブのある、おじいさんが住んでいまし
た・・・」
母が話を続けていると、途中で息子がこう言った。
「ママ、その話は前に聞いた事があるよ。こぶとりじいさんの話でしょう」
「そうよ。でも今日の話は、この前とは少し違うのよ」
「じゃあ、続きを話して」
「おじいさんは、体が少し太っていて・・・」
息子は、小太りじいさんの話を楽しそうに聞いていた。
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