写真家のY氏がカメラを片手にタイムマシンから降り立つと、目の前では炎天下にそ
びえ立つ大阪城を戦場にして、鎧に身を包んだ何千人という兵士が激しく入り乱れて
いた。状況から察すると、どうやら大阪夏の陣であろう。
「お前は、何者だ」
風変わりな未来人のY氏に、すぐさま一人の武将が声を掛けてきた。まるで真田幸村
の銅像を思わせる風貌である。
「未来からやって来た者です」
「ほう、珍しい奴じゃ。何の用だ」
「写真を撮りに来たのです」
「写真だと」
「はい、あなたの姿が後世に残ります。もしや、あなたは真田幸村では」
そこへ敵陣が勢いよく攻め込んで来た。
「左様。上手く撮ってよ」
武将はそう言い残し、突撃を開始した。
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