洋服店を営むY氏は、明日の開店準備に忙しい。時刻は夜半過ぎ。Y氏は一人で店に
残り、数体のマネキンに洋服を施していた。そして最後の一体に花柄のワンピースを
着せた。
「今年の流行りになる」
マネキンに語りかけるY氏。
「嬉しいわ」
そんな声が聞こえた気もする。空耳だろう。
やがてY氏は眠くなり、店のソファーで深い眠りに入った。
そして朝を迎えた。
「すまないが、マネキンを配置してくれないか」
Y氏はそう言って、店員に配置図を手渡した。暫くして、店員が言った。
「マネキンが一体足りないのですが」
「まさか」
Y氏は陳列窓に目を向けた。
ーあれ、見覚えがあるなー
窓越しに通り過ぎて行く女は、花柄のワンピースに身を包み・・・。
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