ある男が、ドクターKを訪ねてやって来た。
「先生、私は十日前に頭を打ってから、それ以前の事が思い出せないのです」
「記憶喪失ですね。どこかの病院で治療はされましたか」
「はい、何件も病院を回りましたが、まだ記憶が戻りません」
「分かりました。では、簡単なショック療法を行いましょう」
ドクターKはそう言って体に用具を身に付け、男に治療の説明をした。
「では、始めてよろしいですね」
「お願いします」
すると、ドスンと鈍い音がした。
「どうします、このまま治療を続けますか」
「はい、続けて下さい。少し効いた気がします」
「分かりました」
男は歯を食いしばり、ドクターKはグローブをはめた拳を握りしめた。
0 件のコメント:
コメントを投稿