2016年9月9日金曜日

第92話「親切な女性」

夏の炎天下、道端でうずくまっていたY氏に、偶然居合わせた年若い女性が声を掛けた。

「大丈夫ですか。熱中症かもしれません」

女性はY氏に付き添い、適切な処置を施した。そして、三十分もするとY氏は回復した。

「本当に助かりました。せめてお礼だけでも...」

「気にしないで下さい。私は通りすがりの看護師ですから」

女性はそう言って立ち去った。

それから数年後、Y氏はとある歓楽街を歩いていた。

「少し遊んで行きませんか?」

呼び込みに誘われ、Y氏は店内に案内された。

「いらっしゃいませ」

薄明かりの下で、ナース衣装の女が艶めかしくY氏を迎え入れる。

「あっ、あなたは、あの時の...。なぜ、こんな仕事を」

「これも、白衣の天使の仕事ですから...」

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