2016年8月26日金曜日

第90話「声」

その夜、Y氏と後輩は一台の車に乗って廃病院に到着した。二人は今日からこの場所で、見

張り役の警備を任されたのだ。

「先に君が入り口で見張りをしてくれないか。一時間経ったら交代しよう」

Y氏はそう言って車に残り、後輩は入り口に向かった。静寂の中で夜が深まって行く...。

やがて一時間が経ち、Y氏は車を降りて入り口へと向かった。

「交代の時間だ。何か異常はないか」

「はい、今のところは」

「先輩、それにしても気味が悪い場所ですね」

「確かに」

「ここで何かあったのですか」

「実は...、人がよく自殺している」

その時、二人はブルッと身震いし、そして自分たちの耳を疑った。

何処からともなく聞こえてきた第三者の叫び声...。

「早く見付けろよ」

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