「わーい、雪だ」
小学一年生の翔太は空を見上げた。勢いよく舞い落ちて来る牡丹雪を眺めていると、
まるで自分の体が空へと吸い込まれて行く様な錯覚さえ起こる。翔太は空飛ぶヒー
ローさながらに、空へ向けて両手を伸ばした。
ーまるで、空を飛んでいるみたいー
そんな幻想に浸っていると、突然、翔太の足が地面から浮き上がった。
「あっ」
翔太は声を上げた。幻想は現実となり、翔太の体は空高く昇り始めた。見下ろせば、
何もかもがミニチュアの様だ。
それから、どれくらい高く昇っただろうか・・・。やがて雲の切れ間から青空が見え
始めると雪の勢いは衰え、そして翔太の視界から雪が消えた。
「あっ」
翔太が再び声を上げた時、その体は重量を帯び・・・。
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