Y氏は三十歳で結婚した。マイホームを購入し、やがて二人の子供を持った。
「定年まで、しっかり働いてよ」
嫁は口癖の様に言う。
「分かっている」
覚悟を決め、そう答えるY氏。
朝から晩まで身を粉にして働き、ようやく得られる必要最低限の糧。自分の人生を犠
牲にし、会社と家を往復するだけの毎日。
ー老後は、バラ色の人生が待っているー
Y氏は自分にそう言い聞かせ、仕事漬けの日々に耐え続けた。
そして遂に、Y氏は定年退職の日を迎えた。
ーこれからは、退職金と年金で楽しくいきるぞ!ー
Y氏は意気揚々と散歩に出掛けた。所が、不運にも途中で車に轢かれ・・・。
ー老後など無かったのだー
死に際で気付いた大きな誤算。人生は二度と戻らない。
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