2016年12月2日金曜日

第104話「男のメンツ」

「こんな時間に独り歩きは危険だよ」

駅の改札を抜け、Y氏は女を気遣った。

「心配しないで。もう、ここでいいわ」

「いや、そうはいかない。俺が家まで送るよ」

Y氏の心は穏やかではない。既に時刻は夜の11時を過ぎている上に、この辺りは特に物騒な

地域でもある。

「大丈夫よ。家は直ぐそこだから」

「でも...」

Y氏は男のメンツを保つべく、女に付き添って歩く。すると前から強面の男が近付いてきた。

「おう、なかなかイイ女を連れているじゃないか」

男はドスの利いた声を放ち、女に手を掛けようとした。

「やめろよ」

Y氏は声を震わせながらも勇敢に立ち向かう。しかし男の力が勝った。

「いい加減にしろや」

開口一番、女が男を締め上げた。

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