2016年4月3日日曜日

第70話「豚小屋」

朝の満員電車は豚小屋の様に息苦しい。

電車を降りて目にするホームの人波は、まるで豚の大群に見える。

Y氏は豚の大移動さながらの行列に混じり、ようやく改札を抜けた。

昼になると、食事処はどこも満員だ。

カウンター席に押し込まれ、体を縮めて食事をするY氏の姿は、餌にありついた豚を思わせる。

やがて終業時刻になり、Y氏は立ち飲み屋で安酒にありついた。

店は客でひしめき合い、まるで豚の酔い処にでもいる気分だ。

最終電車でY氏が自宅に戻ると、無断の外飲みに腹を立てた嫁は玄関を開けてくれな
い。

Y氏は仕方なく猫の額ほどの庭で横になった。

「俺は豚じゃない」

Y氏は呟いた。

そこは満員の豚小屋を思えば、甚だ快適なのかもしれない。

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