「よし、今日からここがお前の部屋だ」
その日、Y氏は看守に連れられて雑居房に送り込まれた。
やがて一週間もすると、Y氏はすっかり他の因人達と打ち解けた。
「それにしても、Yさんの話は面白いな」
「ほんと、腹の皮がよじれそうだよ」
Y氏は暇さえあれば、他の因人に笑い話を聞かせた。
その晩も、因人達はY氏の話に聞き入っていた。
「アッ、ハッ、ハッ、ハッ…」
すると、一人の因人がお腹を抱えて笑い転げながら、絞り出すように声を上げる。
「もう止めてくれ!これ以上聞くと、笑い死にしそうだよ」
そこで、別の因人がY氏に話しかけた。
「ところでYさんは、ここへ何の罪でやって来たの?」
「俺はただ、友人に面白い話を聞かせただけさ…」
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